キャラクタービジネスへの知的財産権の活用について

その1:著作権法による保護昨今キャラクタービジネスに関する注目が集まっています。そこで、知的財産権を利用したキャラクタービジネスの保護について今回は考えてみたいと思います。

キャラクターのデザインは、美術の著作物(著作権法10条1項4号)として著作権法の保護を受けることができます。我が国においては、著作権の発生に申請、登録、著作権表示等の一切の手続きを必要としない無方式主義を採用しておりますので、手続きがなく楽な反面、故意過失の立証を権利者側がしなくてはならないという部分もあります。

著作権の始期は、「著作物の創作の時に始まる。」とされています。(51条1項)著作権法による保護期間は、「別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。 」(同法51条2項)ことになっていますので、著作者が個人の場合は長生きしたほうが保護期間は長くなるということになります。

著作権も財産権の一種ですので、他人に権利譲渡をすることはできますが、譲渡後も保護期間は著作者の死後50年となります。「別段の定めがある場合」については、同法52条乃至56条までに規定されていますので、具体的な内容については著作権法の条文をご確認下さい。

著作権(同法21条~28条)は譲渡できますが、著作者人格権(同法18条~20条)は、「著作者の一身に専属し、譲渡することができない」ことになっております。(同法59条)通常著作権の買取による譲渡契約を結ぶ場合には、譲受人は著作者人格権の不行使条項を入れたがりますが、譲渡人側からするとこの契約は不利な契約となります。

また著作権(同法21条~28条)のうち、27条(翻訳権、翻案権等)と28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)については、譲渡した場合に著作者に著しく不利益が生じると考えられますので、「譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。 」旨の規定(同法61条2項)がありますので、27条や28条の権利についても譲渡を受けたい場合は、契約書にその旨を明記する必要があります。

キャラクタービジネスにとっては、この27条と28条の権利は、とても重要な権利となります。キャラクターのイラストからぬいぐるみを作成したり、キャラクターのアニメーションや実写版を作成する行為は、翻案行為(27条)になりますので、27条の権利を譲渡していると著作者は翻案行為に対して権利行使ができません。

また、翻案行為により作成されたものは二次的著作物になりますが、28条の権利を譲渡していると二次的著作物に利用に対して、権利の主張ができないことになりますので、注意が必要です。

その2:意匠権による保護意匠権という言葉には、なじみのない方も多いかと思います。意匠とは、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるもの」を言います(意匠法2条1項)。

例えば、キャラクターのぬいぐるみや着ぐるみの形状について、意匠出願し、登録を受ければ、類似形状のぬいぐるみや着ぐるみを製造販売している者に対して、意匠権に基づく差止請求権、損害賠償請求権の行使等ができます。

例えば、神戸ポートピアホテルの「ポッピーくん」は「仮装用ぬいぐるみ衣装」について意匠権を持っていますし(意匠登録第1435530号)、茨城県の日立市は「かみねっちょ」の「ぬいぐるみ動物おもちゃ」について意匠権をもっています(意匠登録第1341646号)。この他にもキャラクターのマスコットを付けたキーホルダー(意匠登録第1182950号)や、キャラクターの形をした菓子(意匠登録第1197378号)等も登録されています。

日本の意匠登録の出願件数は年間3万件程度しかありませんが、物品の形状等について直接的な保護を受けたいのであれば意匠登録を検討してはいかがでしょうか。

商品の形態については不正競争防止法2条1項3号も保護規定がありますが、この規定は、「日本国内において最初に販売された日から起算して三年を経過した商品について、その商品の形態を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為」や、「他人の商品の形態を模倣した商品を譲り受けた者(その譲り受けた時にその商品が他人の商品の形態を模倣した商品であることを知らず、かつ、知らないことにつき重大な過失がない者に限る。)がその商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為」には及びません。

意匠権については、登録日から20年間と長期に渡って保護がなされます。また意匠権は公示されるので、過失推定規定(意匠法40条)が働く為、訴訟における立証も容易です。

尚、意匠登録を受けるには、新規性(3条1項各号)、創作非容易性(3条2項)等の要件を満たす必要がありますので、キャラクターを公知にする前に、弁理士や、知財専門の弁護士に出願の相談をして下さい。手続は面倒かもしれませんが、長期間に渡り保護が受けられるので、ぜひ検討してみてください。

その3:商標権による保護商標法上の商標とは、「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合であって、業として商品を生産し、証明し若しくは譲渡する者がその商品について使用するもの、又は業として役務を提供し若しくは証明する者がその役務について使用するもの」をいいます。

例えばあなたが制作したキャラクターが「AAA」という名前だったとします。他人が「AAA」という名前を使用して、勝手にぬいぐるみを売っていたとします。この場合に全くキャラクターのイラストが類似していなかったら、著作権の行使はできません。

しかしながら、第28類の指定商品「ぬいぐるみ」に対して、商標「AAA」の商標権を有していれば商標権に基づき、差止請求権(36条)、損害賠償請求権(民法709条)、侵害罪(78条、78条の2)等の権利行使ができます。

商標権は、更新制度があり、無効審判等で商標権が消滅しない限り何度でも更新することができるので、かなり長期間に渡り保護をうけることも可能です。

また、意匠権と同様に特許庁での審査を経て登録されるので、過失推定規定(準特103条)等の規定があり、侵害行為の主張立証が著作権と比較して容易になります。

また文字商標だけでなく、図形商標や立体商標も識別力があれば登録可能です。登録例の一部をあげると株式会社不二家のペコちゃん(登録4157614号)、ポコちゃん(登録4157615号)や、ケンタッキー フライド チキン インターナショナル ホールディングス インコーポレーテッドのカーネルサンダース像(登録4153602号)などがあります。

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